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2015.03.05
957号 トマ・ピケティ氏の主張について
トマ・ピケティ氏は日本で大もてで、著書は書店に山積みされていますし、国会の格差論争でも氏の主張が盛んに引用されています。先だって一水会で、氏の主張の概要説明がありましたので、その大要を紹介します。
① 過去200年を振り返ると日米欧各国(20か国以上)では資本の収益率(r)が一貫して4~5%で推移して来たのに対し、経済成長率(g)はほとんどの期間1~2%に過ぎなかった。このため、rはgを上回るという数式が歴史的に成り立つ。20世紀初頭まで各国の貧富の差は大きかった、2度の世界大戦で持てる者の資産が破壊され格差は一旦縮小、70年代までは戦後復興の高度成長期で格差はそれ程拡がらなかったものの、80年代以降日米欧いずれも格差が拡大、とくに米で顕著だ。
② 資産家の財産が大きくなるスピードは、一般の人の所得が増えるスピードより速い、富裕層を中心に累進的な資産課税を世界的に導入し、格差是正を図るべきだ。世襲社会、相続財産に依存する社会に戻って来ている。格差を放置しておくと、世襲資本主義のようなことになってしまう恐れがある。また、教育機会における不平等が所得の不平等につながっている。米で目立つが、日本にもある。
③ 日本については、アベノミクスは格差を拡大するリスクがある。日本の不平等は米ほどでもないが、増大している。低成長時に国民所得に占める上位者のシェアが増えることは、全体としては購買力が減ることなので深刻な問題だ。日本の最高所得への税率は高くないので、もっと累進を強めることができると思う。消費税増税は正しい方向とは思えない。低所得者、中所得者の税を減らし、高所得者や資産家に高い税金をかける方が日本の経済状況に合っているのではないか。
2016.07.09
2016.06.29
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