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2012.08.03
700号 消費税の逆進性対策についての私見
消費増税法案等を審議している参院特委は、8月1日、名古屋市と宇都宮市で地方公聴会を開きましたが、その際改めて逆進性対策が大きな話題となりました。
3党合意による法案では、消費税率が8%になるときは、まず、現金を配る「簡素な給付」を行うとともに、現金給付と減税を組み合わせた「給付つき税額控除」か、食料品など生活必需品の税率を低く抑えた「軽減税率」のどちらかの導入に向けて検討を進める予定です。軽減税率の導入は3党合意では、「財源の問題、対象範囲の限定、中小企業者の事務負担等を含め様々な角度から総合的に検討」としていますが、公明党は早期導入に極めて熱心です。
確かに、逆進性対策として軽減税率は主要先進国で広く導入され、わが国の世論調査でも7割近い支持があるものの、①対象とする品目の合理的な線引きが難しく、煩雑で徴税コストがかかり、新たな利権を生む恐れもあること、②インボイス制度導入による事業者側の事務負担の増加のみならず、インボイスを発行できない非課税事業者が中間段階の取り引きから排除される懸念があること、③高額所得者も恩恵を受け、むしろその還元の方が大きいこと等が指摘されているうえ、かりに消費税を10%に引き上げた際、軽減税率を5%に維持した場合、税収は2兆円台半ばから3兆円程度減少するという推計を財務相は国会で明らかにしています。
一方、給付つき税額控除は、充分な所得把握ができることが前提ですし、給付と控除という2つの作業が必要となります。真の逆進性対策は社会保障の充実と税制のあり方での対応にあると私は思いますが、強いて行うならカナダのGSTクレジット方式かと考えています。しかし、その点は別の機会に譲ります。
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