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2012.04.17
670号 一体改革と社会保険料について
政府の推計によると、社会保障費の負担は、平成24(2012)年度の101兆円から、平成37(2025)年度には146兆円と増大し、その負担割合は保険料が6割、税が4割ですから、増加分も保険料が25兆円となり税の20兆円を上廻ります。
そして、この保険料は幅広い世代が負担する消費税などと比べ、その大半が現役世代の家計や企業が負担しています。しかも、人口減少と少子高齢化で現役世代が減り続けているため、高齢者と現役世代の関係は将来騎馬戦型から肩車型となり、1人当たりの負担はいよいよ重くなっているのが現状です。
社会保険は負担に見合う受益が基本の相互扶助ですが、この基本が崩れて、今は健保組合の保険料の4割が高齢者医療制度への支援金に回るなど、世代間の仕送りが行われています。したがって、医療、介護など高齢者への支払いが増えるとほぼ自動的に現役世代へツケが回り、保険料が上がる仕組みとなっています。
保険料は税と違い、国会が決めるわけでもなく、所得、収益の状況にも絡むことなく、サラリーマンなど自動的に給与から一定比率天引きされるだけですから、上がってもよく判らない「見えない増税」です。政府の推計では、保険料(労使合計)は平成37年度には24年度より15%強増え、年収の3割を超えると予測しています。しかも、それには上限が見えません。
社会保障と税の一体改革には、当然に社会保険料の改革も含めなければならないでしょう。今の社会保険料のあり方で良いのか、世代間の仕送りや上限設定をどう考えるのか、そのためには社会保障費全体の効率化や給付の抑制は避けて通れません。それを見送る限り、本当の一体改革は実現しないと私は考えています。
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