メールマガジン
2012.04.10
668号 参院廃止論について
橋下市長率いる大阪維新の会の政権公約「維新八策」に、参院廃止の検討が入っていたことから、参院廃止論や一院制導入論がまた活溌になって来ました。先だってもメディアの取材があり、私は大要、次のように話しておきました。
この問題は古くて新しい問題です。橋下市長の考えは、2月17日、参院予算委との晝食会でご本人から直接聞きましたが、それによると今の国政では何も決まらず、何も進まない、あるのは停滞と混乱と閉塞感だが、その原因は「ねじれ国会」、衆参両院の意思決定が異なることにある、というのです。
私は、その席で一院制なら衆院廃止の方がベターと冗談を言い、世界の主要国が二院制を採用しているのは、国の意思決定に誤りなきを期するため、それぞれの国情に応じた良識による「再議」「熟議」を必要としているからで、とくに日本のような経済大国では、二院制で多様な価値観を持つ多様な国民の代表が国会を構成する方が望ましいと述べました。
現在の衆院は、人口30~40万人の小選挙区の代表と全国11ブロックの代表で構成されていますが、参院は、都道府県単位の地域代表と全国単位の比例による職域代表ですから、こちらの方が代表性が判り易くすっきりしています。
また、一院制採用には憲法改正が必要で、改正には衆参両院の2/3の発議が要件ですから、参院でその同意を得ることは極めて困難です。とすれば、現憲法を前提に、衆参両院の役割分担を見直し、有効に機能する二院制にすることしかなく、その場合、参院には、現在も重視している決算審査、ODAを始め、外交防衛、教育、地方自治、行政監視、同意人事等に優越権を与えることも一案と考えます。
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