メールマガジン
2011.08.19
602号 新「原子力安全庁」についての私の注文
政府は、先日、原子力の安全規制を担う組織改革の基本方針を閣議決定しました。原子力安全・保安院を経産省から分離し、内閣府の原子力安全委員会、文科省の放射線モニタリング部門などと統合して原子力安全庁(仮称)を設置、環境省の外局とし、その関連法案を通常国会に提出、来年4月の発足をめざすとしています。
来年4月以降は第2段階として、年末までかけて、新たに策定されるエネルギー基本計画や事故調査検討委員会の報告などを踏まえ、組織を強化、改編する予定です。安全庁長官には官僚だけでなく、民間有識者を含め幅広く人選する考えです。
安全庁設置については、菅首相の置き土産としても、国民に大きな異論はないと思います。しかし、設置する以上は、私は次の諸点を注文したい。例えば、①私は、「減原発」によるベストミックス政策を基本とすべきだと考えますが、それをエネルギー基本計画で認知し、工程表を含め詳細を詰め、安全庁の原発に対する基本的スタンスとしなければなりません。
次に、②安全庁に望まれるものは、独立性と中立性であり、国内外からの強い信頼に裏打ちされた権威です。環境省の外局がそれにふさわしいかどうかは議論があるものの、内閣府でも独立委員会でも五十歩百歩です。それは結局は、安全庁に各省庁を抑える法的に安定した位置づけと強力な権限を与えることしかありません。
その上で、③より重要なことは、使命感と責任感に溢れ、専門的知識を持つ職員を多数確保して配置、今後とも養成できる仕組みをつくることです。それには、他省庁から出向の幹部職員のノーリターンルールはもとより、魅力あるキャリア・パスを確立して若手職員の独自採用などを行う必要があります。
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