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2011.06.03
581号 わが国の原子力行政体制について
今回の大震災に伴う原発事故を受け、原子力行政体制のあり方が俎上に乗っています。わが国では、原発事故が起きる度に、体制、組織が改編されて来た長い歴史があります。
現在の体制は、大きく①原子力政策の推進、②原子力安全規制に分かれ、内閣府に、①については科学技術担当大臣と原子力委員会、②については防災担当大臣と原子力安全委員会(以下「安全委」と言います)が置かれ、各省庁に対し、①、②に係る基本的な考え方の提示や監視、監査を行っています。
主要省庁は経産省で、原発等発電利用の推進のために資源エネルギー庁が、それらの安全規制及び防災対策のために原子力安全・保安院(以下、「保安院」と言います)が置かれています。一方、文科省は、科技庁から引き継いだ放射線利用に関する開発研究、安全規制等を行っています。さらに、放射線被曝では健康、食品、環境等で厚労省、農水省、環境省等が、防災対策では多くの省庁が関係しています。
そして、わが国では、原子力行政が、原子力エネルギー利用、とくに原発等の推進に傾斜しており、そのため、電力会社や経産省サイドの発言権が強く、同じ省内では保安院もチェック機能を十分発揮しにくいうえに、そもそも経産省全体が国民の健康を最優先するという意識に乏しいと批判されています。
また、原発等の安全性をダブルチェックすべき安全委が権限や独立性が弱く、保安院の追認機関にとどまっているという見方もあり、保安院を経産省から分離、安全委と統合し、米国のNRC(原子力規制委員会)のような強力なチェック機関を内閣府に設置する必要性が識者から指摘されていますが、私も賛成です。
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