メールマガジン
2011.03.01
554号 強い経済と来年度予算案について
菅首相は、就任直後は「強い経済、強い財政、強い社会保障」のフレーズがお得意で、この三者の好循環をつくり、一体とした実現をめざすことを強調していました。「たちあがれ日本」も「強い経済、強い財政」などを主張して来たこともあり、私は首相の考え方におおむね同感でした。
しかし、首相は、昨今の参院選で唐突に消費税率引き上げに言及し猛反発を受け、その後、社会保障と税の一体改革を打ち出し、それに政治生命を懸けると述べ、第2次改造内閣には与謝野氏を入閣させました。
骨太の「強い経済、強い財政、強い社会保障」から、税と社会保障だけ抜き出して、社会保障費の自然増に対処するチマチマの増税路線に転換、グランドデザインが矮小化した感じを私は受けました。
言うまでもなく、「強い経済」がバックになければ「強い財政」が成立する筈がなく、「強い財政」なくして「強い社会保障」が存続する筈はないからです。国会の質疑で定番の所得税法等の一部改正法附則104条にも、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」、平成23年までに法制上の措置を講ずるとしています。
わが国経済は今や自力で踊り場からの脱却を図りつつありますが、「強い経済」の実現には、早急なデフレ脱却と新成長戦略の推進が不可欠です。経済評論家諸氏がいうように、菅政権の姿勢にも来年度予算案にもそれが欠落しているとすれば、これから始まる参院での予算案審議で徹底的に追及しなければならないでしょう。
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