メールマガジン
2010.08.17
498号 一括交付金の今後について
民主党マニフェストの柱の一つに、来年度導入をめざす、地方自治体に対する
「一括交付金」があります。しかし、肝心の制度設計が進ます、政府は、今月末
までの来年度予算の概算要求に入れることは断念したと伝えられています。
地方向けの補助金は、平成22年度予算ベースで、計約21兆円、社会保障
関係14.8兆年、公共事業関係3.1兆円、文部・科学技術関係2.3兆円、その他
0.8兆円ですが、各省庁は従来の補助金制度を前提に概算要求額を提出
するようです。
地域主権戦略会議は、9月中に一括交付金の制度設計に着手します。個別の
補助金につき、従来のままとするか、一般交付金とするかは、各省庁の意向を
聞いてからとのことですが、その結果は決して良いことにならないでしょう。
何故かというと、①第一に、首相の交代があったからです。表向きは、鳩山
前首相は、このことに意欲的で、戦略会議もそれなりに機能していました。
菅首相は、財務相時代に財務官僚の洗脳を受けたのか、財政再建や増税
には前向きですが、地方主権には関心がなく、この件は、菅氏就任により
一気にトーンダウンしました。
②第二には、言うまでもなく各省庁の抵抗です。各省庁にとって、ヒモ付き
補助金は、政策実現の主要手段であるだけでなく、地方自治体への権力の
源泉です。これを一括化し、地方に自由にさせることには何のメリットもありま
せん。各省庁はできるなら残したい、残せないなら一定の関与はしたいという
強い願望を持っています。
このままでは、結論は、年末の予算編成になりそうですが、地方自治体に
とって望ましい形になる保障はない、と私は考えます。
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