メールマガジン
2008.12.05
327号 10兆円の特別枠予算について
景気回復のため、雇用対策などに今後3年間で計10兆円の予算特別枠を設ける案が、政府・与党内で浮上し、論議をよんでいます。毎年度の予算編成で、政府は概算要求基準(シーリング)で分野ごとの上限を定めて来ましたが、それとは別枠に、平成21年度予算から毎年度3兆円規模の雇用創出につながる公共事業や失業対策事業を行おうというもので、財源には建設国債などを想定しています。
政府は12月3日の臨時閣議で、シーリングの「維持」を確認したばかりですから、形式的にはそれを維持しつつ、3年間限定の特別枠という形で、当初予算に係るシーリングの実質的な形骸化を狙ったところがミソです。
これに対し、シーリング維持は守りながら、必要なら本年度の第二次補正予算などで対応すべきだという意見も出、財源をどうするかを含めて、しばらくは百家争鳴になりそうです。
それにしても、こういう事態がしばしば起って、マス・メディアの恰好の餌食となり、「司令塔なき政府・与党」とか「調整役不在で混乱」とか揶揄されているのは困ったものです。確かに選挙の顔として選ばれた麻生総理が、早急な選挙を前提に、閣僚、党役員を選んだところ、諸々の事情で選挙は先延ばしとなり、そうなると、政権運営の重しとなる仕切り役がなく、政府・与党は機能不全に
陥っているということでしょう。
まだ好意的だったマス・メディアにまで、公然と「KY首相」「資質を欠く」などと言われ始めた現状を、政府・与党は深刻に受け止める必要があります。
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