メールマガジン
2008.10.07
311号 米・金融安定化法の成立
米下院は、10月3日、米上院が10月1日に可決した金融安定化法案の修正案を可決し、ブッシュ大統領はそれを直ちに署名、法律として成立しました。9月29日の下院の否決によって、ニューヨーク株式市場の株価は過去最大の暴落をし、世界の市場が大混乱をしたのは記憶に新しいところです。この法案は、金融機関の不良債権を最大7千憶ドル(約74兆円)の公的資金で買い取ることが柱ですが、下院を通すため、法案を修正し、預金者保護の充実や税の優遇措置の延長などを追加しました。しかし、金融機関からは、例えば買取り価格の決め方等につき注文が付いて、実効性が危ぶまれています。価格が高いと国民負担が膨らみ批判がでるし、安いと金融機関の資本増強が不十分となる恐れがあるからです。
いずれにせよ、法律成立は一歩前進であることは確かですが、早くも本当に米国の金融危機を抑え込むためには、下落を続ける住宅価格の底打ち、さらなる政府の追加対策が必要だと指摘されています。すでに90年代に土地資産バブルの崩壊と、それによる金融危機を乗越えて来たわが国の経験からすれば、金融機関がバブル崩壊に伴う損失を出し切り、それに伴う資本不足を公的資金の投入等によって手当てすること、それと併せて状況を見ながら景気対策を追加して行くことが必要です。まず、米政府の対応が注目されますが、ヨーロッパ主要国とともにわが国も、この危機打開に何ができるか、真剣に検討すべきときが来ています。
平成20年10月6日
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