片山とらのすけ

おおさか維新の会

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2008.08.09

294号 「左手のコンチェルト」を読んで

 先だって、知人から是非一読をと送られて来た「左手のコンチェルト」という著書を読みました。

 音楽家のエッセイ集かと思っていましたら、著者の館野泉氏は、私と同世代の方で、フィンランドに住み、そこを拠点に世界的に演奏活動をして来た著名なピアニスト、本書はその館野氏からの「聞き書き」
によってできたものですが、思ったより読み易く、面白く、もとより教えられるところも多く、私は一気で読みました。

 館野氏は、2002年、フィンランドのステージで倒れ、脳溢血による右半身不随となります。ご本人は当初は、両手が使えなければ再起はあり得ないと思い込んでいましたが、息子が持って来た左手のための楽譜を見て、フィンランドの春にある日突如、湖の氷が割れて湖面に水が溢れ、見る世界が一変することを思い出し、それと同じように、弾ける、音楽がまたできると自然に確信を持ち、2年後、左手による演奏会を開いて、再起を果たします。

本書は、その話を中心に、館野氏の人生、生き方や家族について、その生涯をかけた音楽とその深い喜びについても語り、また、交友関係、ファンクラブやフィンランド等の話もあって、門外漢の私も感銘深く読みました。

 館野氏は、現在も、多くの友人知己による応援のなか、左手による演奏会を中心に旺盛な演奏活動を続けていますが、苦難を乗り越えての復帰が、新たな音楽のはじまりとして、彼の音楽を豊かにし、強じんにしていることは、まことに驚くべきものがあります。私も、がんばらなければなりません。

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