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2008.05.21
271号 年金改革試案について
政府の社会保障国民会議は、5月19日、様々な提案がある年金改革案について、それぞれ必要となる消費税率などを計算した財政試案を公表しました。
インパクトが強いこの試案は、マスメディアに大きく採上げられ、賛否両論を含め賑やかな論議をよんでいますが、年金問題につき、国民的議論をさらに深める契機となれば幸いです。政府が「全額税方式」の将来試算を行うのは始めてで、①全員に基礎年金(月6.6万円)の満額を一律給付、②過去の保険料未納分に応じて基礎年金を減額、③全員に満額を給付し、過去の保険料納付者に加算の3類型に分け、すでに決定済みの基礎年金の国庫補助負担率引上げ分2.3兆円(消費税率で約1%)を加えて、①は16.3兆円の新規財源が必要で消費税率6%のアップ、②は11.3兆円で4.5%アップ、③は35.3兆円で13%アップとの試算です。
いずれにせよ、全額税方式は生活保護に似た仕組みとなり、社会保険方式に比べすべての世代で保険料負担よりは消費税負担が上廻り、65歳以上はそれがより重くなる一方、保険料がなくなるため企業負担は大幅に軽減され、保険料未納問題は解決します。しかし、消費税引上げには、年金だけでなく、増大する医療や介護の財源確保を含めた一体的な議論が必要で、年金だけを消費税でまかなうという発想は仲々通りにくいと考えます。
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