メールマガジン
2008.01.05
232号 ニューヨーク原油が100ドルに
ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、ナイジェリアやパキスタンの政情不安を引金に需給が逼迫するとの懸念から投機資金の流入が加速、国際指標となる米国産標準油種(WTI)2月渡しが急騰し、1月2日、史上始めて1バレル=100ドルに達したことが、わが国のマスコミにも大きく報じられました。
原油価格は、一時1バレル=50ドルを割込んだ昨年1月から約1年で2倍になったわけで、世界経済への悪影響は言うまでもなく、過去の経験から原油高に耐える力の強くなったわが国経済にとっても、相当な影響は避けられそうになく、すでに株安・円高が顕着になっています。流入資金の源はサブプライムローン問題の拡大による米景気の先行き不安により金融・株式市場からの移行をもくろむヘッジファンドに加えて、米国の退職公務員基金などの機関投資家や膨大なオイル・マネーを持つ産油国だと言われています。
マネーがマネーをよぶ形の原油価格相場は今後、どうなるのか。世界経済が失速し本当の石油危機になるまで、高騰にブレーキがかからないという見方がある反面、虚構の石油を奪い合うマネーゲームだから、需要が伸びないという予測が出れば、本格的な反落に転ずるという見方もあります。政府は、寒冷地の灯油代補助や中小企業支援策を盛込んだ原油高対策の実施を急いでいますが、根本的には、新興国などの石油消費の抑制・効率化や産油国における増産を国際的に働きかけるとともに、日本人を筆頭に世界のすべての消費者が無駄なエネルギー消費をしない努力を真剣に行うことしかないと考えます。
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